「火花」 第1話

あまりにも儚くて、美しい。これらの映像が彼らの青春をはっきりとした夢のように見せている。

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原作を読んでいないのが悔やまれるくらいの力作だ。だが、夜道のように真っ暗で、一筋の希望に照らされた彼らの未来を、共に手探りながら進んでいけるのはそれはそれで楽しいのかもしれない。たった一時間でこのドラマの虜になってしまった。


第一に俳優陣の演技が素晴らしい。林遣都の、網膜に映るものすべてを真っ直ぐに受け取ってしまうような目は、彼にしか持ちえない魅力だ。目で、視線で、顔で、全身で、見ている夢見る若者特有の繊細さを表現している。見ているこっちが不安になってしまうくらいだ。また、神谷役の波岡一喜もいい。脇役のイメージが強かったが、この作品では派手な衣装に見劣りしないくらいの存在感を放っている。余談だけど、髪型のせいなのか忘れらんねえよの愛すべきボーカル柴田さんに似ててめちゃくちゃ親近感湧いた。相方役の二人、見たことないと思ったら本当のお笑い芸人でとろサーモンというコンビらしい。山下役の人の演技味があるなあ。良い意味でどこにでもいそうな漫才師を演じている。そして今回全く出演シーンないけど、徳永がアパートに戻るシーンで流れる渡辺大知の弾き語りが最高。渡辺大知好きとしてはあの稀有な歌声を活かしてもっと登場してほしい。神戸が生んだ天才ですね。あと染谷将太があまりにも憎たらしくて愛おしい。あんなに少ない出番で存在感を出せるのはなぜなんだ。


徳永と神谷はいたるところで対比されている。コンビ名のカタカナとひらがな。コント衣装でのスーツとカラフルなシャツ。ビールとハイボール。そして私服。幼少期の暮らし。性格。深読みするならば、印象的かつ対照的な目を持つ二人のキャストそのものも対照的だ。それらが神谷と徳永が距離を縮めるシーンの輝かしさを際立たせている。それは、ないものを補い合うように惹かれていく二人の運命性、そしてこれから二人の間に広がっていくであろう距離を表しているかのようだ。あと、1話だけだと思うけれど徳永と山下のシーンは昼が多く、神谷とのシーンは夜が多いのもいい。題材的に神谷との関係に比べて、山下との関係がおざなりになってしまいそうなところを上手く成り立たせている。


また特筆すべきは挿入歌の「空に星が綺麗」と本作のハーモニーだろう。あー売れたい!という徳永の叫びから始まるこの曲に合わせて、徳永と山下の日常が淡々と映し出される。吉祥寺の懐かしい街並み。コインランドリー、銭湯、そして公園。彼らはどんな場所でも彼らは常にネタを口ずさみ練習している。漫才はもはや、彼らの青春だけでなく生活そのものになっているのだ。

懐かしいあの公園にちょっと行ってみようか
最近忘れてること なんか思い出すかも

今まで斉藤和義のこの曲を聴いていたときの感覚を忘れてしまうほど、この曲は徳永と山下の歌になっている。だが、ひとつ気にかかるのはこの曲が過去を回想し、懐かしむ曲だということだ。それはスパークスが過去のものとなる、つまりスパークスが解散してしまうような予感を感じさせられる。でも個人的には解散しないでほしいなあ。まだ一話しか経ってないのにすっかりスパークスに愛着が湧いてしまった。

第1話は神谷が上京して来るということを徳永が知るシーンで終わる。はあ、面白かった。次回予告から察するにスパークス売れるんですね。あと神谷の彼女役が門脇麦なのが嬉しい。第2話と第3話土日でまとめて見ようかなあ。